Auf der Walz ドイツの職人、修行の旅!

Auf der Walz

ドイツで黒い帽子に金色のボタンのついたジャケット、
裾の広がったズボンに変わった杖をついて歩く人を見かけたら
それはWanderjahre中の職人さんです。
WalzやTippeleiとも言います。

ドイツではZimmerman(大工さん)、Tischler(家具や建物など木を使ったものを作る職人)
をはじめとする職人さんが一人前のマイスターになるのに3年と1日、
Wanderjahreと呼ばれる修行の旅に出る伝統が、今もなお続いています。
ドイツではまずLehrling(見習い)から始まり
Geselleと呼ばれる職人時代を経てやっとマイスター、Meisterになるのですが、
この修行の旅に出るのはその中のGeselle。
生まれ育った街から離れ、見知らぬ土地の工房や会社で実習を積みます。
Walzを行うにあたり職人たちはSchachtと呼ばれるグループに所属しています。
どのSchachtに属するかでWalzにおけるルールはだいぶ違うそうで
伝統的に厳格なルールに則るグループもあれば
女性のGeselleも参加できるグループもあるそうです。
共通するルールとしてはGeselleの試験に合格していること、
そしてWalzが「責任逃れ」に利用されないためにも
独身で、子供がいなくて、借金がないこと。
忘れてはならないのは彼らの伝統的なコスチューム。

シルクハットや山高帽など、黒い帽子。
襟のない白いシャツ。
ネクタイ状の布。(色分けでどのSchachtに属するかがわかる。)
裾が広がった黒いズボン。
8つの貝ボタンのついた黒いベスト。(8つのボタンは1日8時間労働を意味する。)
仙人が持っていそうな杖。
そして金のピアス・・・
金のピアス!?
体一つで旅をするGeselleはもちろんお金がありません。
そのためもしものことがあって亡くなってしまった場合、
この金のピアスを使って葬儀を行ってもらうためなんだそう。
さらにSchlitzohrという詐欺師を表す言葉もこのGeselleのピアスが語源というお話もあります。
悪いことをしたGeselleのピアスをむしり取って罰を与える風習があり、
ピアスをむしられた耳たぶが割れてSchlitzohrだったことから。。。ひーーー。

何も知らずに見たらハロウィンか何かだと勘違いしてしまいそうですが
こういう伝統的な風習が今も続いて生活に根付いているのは素敵ですね。
それと同時にマイスター、と一言で言いますがそれまでの道は本当に険しい!

実は何年か前、京都にもこのWalz中のZimmermannが来ていたそうです。
京都のDeutsche Samstagsschuleに遊びに来てくれた様子。

Deutsche WelleのVideo-Themaでも特集ありました。
こちらからどうぞ。