ドイツの賃金奴隷
ドイツの大手精肉会社、Wiesenhof、Steinemann。
精肉製品を安価に提供している。なぜ安く肉を提供できているのか?
その影には東ヨーロッパからの労働者を都合よく利用する実態がある。
Lohnsklaven in Deutschland - Miese Jobs für billiges Fleisch (←ドイツ語ドキュメンタリー映画)
時給は税込みで5ユーロ。
一日フルで働いても一ヶ月で600~700ユーロにしかならない。
更にその給料から泊まっている宿舎の費用約150ユーロが差し引かれる。
その宿舎の環境も劣悪だ。
一部屋を成人男性が5人で住まわされている。
地域の職員が住まいの調査に来るときはその時だけベットを隠して、
十分に広さがある部屋に住んでいるように見せかける。
常に生活は監視されていて、外部の人間と話すことは許されず
外出するときも許可がいる。許可されなければ敷地から外へ出られない。
まさに囚人同然。
宿舎は精肉所のすぐ横にあり、
いつでも仕事に呼びつけられるようになっていて、
夜中の2時に起こされ、3時間だけ働いて宿舎に戻され、
2時間後にまた働かされるなど、非人道的な扱いを受けている。
彼らはどのようにして連れてこられるのか?
実はWiesenhofやSteinemannが自ら連れてくるわけではなく
仲介会社が請け負っている。
あるルーマニアにある仲介会社に
ドイツの精肉所で働きたいと装い電話し、
詳しいことを聞こうと質問するとすぐに電話を切られてしまう。
正規に登録していない違法な会社で電話番号も携帯の電話番号しかないのだ。
実際担当者と会って詳しく話を聞くとびっくりするほどいい労働条件だ。
1ヶ月1200ユーロでドイツまでの移動費、宿舎、1日1食付くという。
しかしまず求職の届け出をするのに150ユーロの前払いと
この仲介会社へ委託料として170ユーロを最初の給料から差し引くと要求された。
ルーマニアで150ユーロと言えば一ヶ月の給料に相当する額である。
もちろん1200ユーロも支払われない。
600ユーロ~700ユーロを毎月、領収書もなく現金で手渡しされている。
ルーマニア人労働者の年金保険の書類から
スペインにあるNauti-Bootという会社が関与しているという証拠を発見。
ところが実際その会社は名前を売っただけでルーマニア人の労働者の斡旋については全く知らないという。
”Nauti-Boot”の社名の保持者はRalf.Rというドイツ人。事務所は倉庫のような場所で責任者だという女性が出てきた。
彼女に"Nauti-Boot"ではボートを販売しているとウェブサイトに書いてあるのだが
ボートは販売していないと答える彼女。
ルーマニア人労働者斡旋の書類に彼女のサインが見られることについて問うと
自分のボスはRalf.Rで何も知らないと言う。
Ralf.Rとは何者なのか?
Steinemannが契約しているもう一つの会社にRBVという会社がありこちらもRalf.Rのもの。
Duisburgにある事務所の住所を尋ねると、郵便受けを使用しているだけ。
ところが年間売上は2000万ユーロ。
合法的にビジネスをしているとはとても思えない。
調査を続けると他にもRalf.Rの所有する会社が出てきた。
ACO.Ltd。ここから名前だけの会社をコントロールしているらしいのだが
もちろん来客にも電話にも答えない。
これらの会社はすべて繋がっており、他の分野でもビジネスをしている。
東ヨーロッパ出身の若い女の子が売りの風俗店の営業も。
ACO.Ltdへの潜入が成功したころすでにACOは警察と検察の監視下にあり
数日後、家宅捜索が行われ、現在も調査中だ。
渦中のRalf.Rは直接話したがらない代わりに弁護士越しに
すべての疑いは根も葉もないうわさだと主張する。
仕事を辞めたルーマニア人女性が失業の届出を出す手続きの際
弁護士に真相を語らせないためにこう脅された。
たまたま道で車に跳ねられることが心配じゃないのか?
たまたま夜で誰も見ていなくて埋められたら?
ルーマニアでも同じだ。
子供が外で車に跳ねられるかもしれないだろう?と。
当の精肉大手企業Steinemannも直接質問に答えることはなく、
書面上でのみ、こう答えた。
弊害は今のところ明らかになっていない。と。
*この文章はLohnsklaven in Deutschland - Miese Jobs für billiges Fleischの内容を要約したものです。