利益追求は、原子力発電においても言えることです。安全よりも利益が優先されるのです―爆発事故の発生後でさえも。
2002年の初め、ブルンスビュッテル原子力発電所から出てきた調査団の顔色は「真っ青」でした。彼らは原子炉圧力容器の真横で配管―というよりも、まだ辛うじて残っていた25の配管の破片を―点検していたのです。
2001年12月、水素爆発が発生し、この太さ10センチの配管(厚さ5~8mm)は3メートルにわたって破砕しました。
当時の運営会社HEW(現在はVattenfall)は、「自然発生的なパッキン漏れ」であると報告し、配管を遮断したうえで―、なんと原子炉はそのまま稼働させ続けていたのです。冬場は、市場で電力価格が最も高くなるからです。キールの厚生省が強力な圧力を掛けたためにようやく、HEWは2月中旬に調査を行うことを承諾しました。結果、この原子力発電所はその後13カ月にわたって停止されることになりました。