原子力発電所から、なべが作られます。
「原子力発電所からできています」―そんな売り文句が将来、なべやフライパンを飾ることになるかもしれません。原子力施設の廃棄コストを下げるため、SPDと緑の党連立政府は、放射線防護政令の内容を改変しました。原子炉から発生した放射性廃棄物質の大部分は、今や家庭ごみとして廃棄され、あるいはリサイクルされているのです。放射性廃棄物の鍋で、おいしいお食事を!
原子力発電所から、なべが作られます。
「原子力発電所からできています」―そんな売り文句が将来、なべやフライパンを飾ることになるかもしれません。原子力施設の廃棄コストを下げるため、SPDと緑の党連立政府は、放射線防護政令の内容を改変しました。原子炉から発生した放射性廃棄物質の大部分は、今や家庭ごみとして廃棄され、あるいはリサイクルされているのです。放射性廃棄物の鍋で、おいしいお食事を!
国内の原発が大事故を起こせば、チェルノブイリを上回るひどい事態が起こり得るでしょう。
ド イツの原子炉にはチェルノブイリのような火災を引き起こす黒鉛は使われていないしたがって爆発によって放射性をおびた雲がそれほど高い大気層まで上がるこ とはないだろうその代わりに数百キロ圏内の放射能による影響は跳ね上がる。ドイツはチェルノブイリ周辺地域よりも7倍、ライン-マイン地方は30倍も人口密度が高い。さらに多くの人々が高い放射線量の被爆をするだろうことは明らかなのである
核廃棄物を引き受けたい人などいません
2005年 から、放射性物質格納庫に保管されていた使用済み核燃料は、各原子力発電所のそばに移されることになりました。この措置によって、ブルンスビュッテルや オーフ(いずれも原発都市)にいる大勢の原発支持派の間で、激しい議論が巻き起こり、現在も論争が続いています。彼らは、近隣で核廃棄物を保管することは 絶対に認められないが、原子炉は稼働させ続けるべきだと主張しています。というのも、原子炉運営には、自治体に多額の補助金が交付されるからです。
CSU(キリスト教社会同盟、バイエルン州の政党)も、原子力発電は不可欠であると主張していますが、核廃棄物をバイエルン近郊に保管する気は全くありません。*最終処分施設の建設予定地をめぐる議論においてCSUは、「ドイツ全国に火をつけている(電力を生み出している)のは我々だ」と主張しています。
*聖フロリアヌスは消防の守護聖人で、「脅威や危機を解決せず、他者に転嫁することによって信者を守護する」という原則をもつ。祈りの句は「聖フロリアヌス、我らの家を守りたまえ、他の家には火をつけたまえ」。
原子力が革新と投資を阻止する
再 生可能エネルギーは世界で一番ダイナミックで将来有望な産業の一つである。ドイツにおける再生可能エネルギーのブームのおかげで多くの現地の企業がその研 究開発に投資した。技術において世界No.1のドイツ企業が少なくなく、見通しも立派である。ドイツ製の風力発電機、水力発電機、バイオガス発電機、太陽 電池パネルなどが非常によく売れる。2008年に世界中に創設された風力発電機の1/3がドイツ製である。
リーマンショックをものともせずに、再生可能エネルギーへの投資は2009年に20%上がり、180億ユーロ(約2兆円)を占めた。
原子力発電所の稼働時間を延長すると、再生可能エネルギーへの投資が不安定になる。それが研究と革新の阻止を導く。原子力にかけるていると、今世紀一番明るい未来のある、環境にやさしいかつ輸出に強い産業の墓穴を掘る。
グローナウのウラン濃縮工場は、その廃棄物をロシアに輸送しています
ウ レンコ社は、グローナウのウラン濃縮工場から排出された、何千トンもの劣化ウランの廃棄処理を、ロシアに任せました。この核廃棄物は、公式には『核燃料』 としてウラル地方の『立ち入り禁止都市』に輸送され、そこで露天のもと、腐食した保存容器の中で保管されているのです。
しかし、この名目上の『有用資源』に対して、ロシアの原子力会社テネックスは一切対価を払っていません。むしろウレンコ社が、この廃棄物の処理コストを負担しているのです。
核燃料再処理施設は、放射性物質拡散場です
ラーグ(フランス)とセラフィールド(イギリス)の再処理施設は、大気中、ドーバー海峡、アイルランド海に大量の放射性物質を流出しています。施設の周辺では、子どもの白血病罹患率が、国の平均の10倍にも達しています
グリーンピースは数年前、セラフィールドの排水管のそばで沈泥の調査サンプルを採取したのですが、これは帰国の途中でドイツ当局に押収され、結局放射性廃棄物として扱われたのです。
原子力発電所では、何千人もの臨時職員が、まともな放射線防護もなしに苛酷な作業に従事しています
何千人もの臨時職員が、原子力発電所の被爆の恐れのある区域で、清掃・除去・修理作業に当たっています。彼らはサービス会社に勤務しており、「お呼び」がかかると、原発に出動せねばなりません。
環境庁が1999年に出した統計によれば、こうした臨時職員の放射線被ばく量は、発電所の固定職員の4倍にも達します。そのためフランスでは、原発臨時職員のことを『放射線のエサ』と言います。
こ うした臨時職員は、ぱっくりと開いたまま粉塵を巻き上げる核廃棄物の保存袋や、放射線を発するタンク横でのコーヒーブレイク、あるいは完全な防護服なしで の原子炉ボイラー内での作業などを報告しています。従業員の中には、線量計の使用を自ら止めた人もいます。被ばく線量が最大許容値に達してしまうと、制御 室への立ち入りを禁止されてしまうからです。結局のところ、誰も自分の仕事を失いたくないのです。
原子力コンツェルンの社長たちは、プライベートでは原子力発電所から距離を置いています
ビジネス上では、EnBW、E. ON、RWE、Vattenfallの幹部役員たちは原子力の利権ために激しく競争しています。しかしプライベートでは、距離を置いておきたいようです。ハンス=ペーター・フィリス(EnBWの最高責任者)、ユルゲン・グロスマン(RWEの最高責任者)、テュオモ・ハタッカ(Vattenfallの最高責任者)はいずれも、原子力発電所から遠く離れた場所に居を構えているのですから。
*EnBW、E. ON、RWE、Vattenfall:ドイツ4大電力グループ。
原子力は世界的に廃れた技術である
ヨーロッパ中で46ヶ国の内の18ヶ国しか原子力を使用していない。その中の2ヶ国だけに新しい原子力発電所が造られている。欧州連合27加盟国では全体的に発電所の数も、発電への原子力の割合も減りつつある。
世 界中に過去10年間に35の原子力発電所が開業した。その電力が26ギガワットを占めている。ただし、現在開業している世界中438の原子力発電所の中の 348が20年の寿命を過ぎている。その電力が293ギガワット。その原子力発電所を新しく入れ替えようとしただけでも、今日から2030年まで18.5 日ごとに新しい原子力発電所が開業しなければならないのである。もちろん無理なことである。