Blog 原発に反対する100の理由

#104 貝と葉っぱ

植物の残骸でもメルトダウンを起こしうる。

 

冷却システムの一部が詰まって停止したせいで、アルザスにあるフェッセンハイム原発は2009年の末に非常停止しなければならなかった。ライン川から流れてくる大量の植物の残骸が、循環冷却の配管組織の奥深くまで入り込んでいたのである。原子力監督官庁は非常事態の指導部を召集した。その少し前にローヌ川から流入した漂流物がすでにクルアス原発の冷却システムを麻痺させていたのだ。

 もっと厄介なのは貝類(シジミ)である。その小さな貝は遠く東方から持ち込まれ、さしあたり中央ヨーロッパの川でかなりの速さで増殖した。その小さな幼生はあらゆるフィルターを通り抜けてしまった。スイスの原発では作業員がなんとか高圧洗浄機を駆使して対応している。アメリカでは1980年に甲殻類のせいですでに原発の一つが運転停止となっている。

#103 炉心にあるフェルト

ちぎれた断熱材のせいで原子炉の冷却水路が詰まる可能性がある。

 

1992728日、スウェーデンのバルゼベック原発において、小さな漏洩口が原因であやうく大規模事故が起こりかけた。漏れ出た水が断熱素材を引き裂いて、細い繊維が吸引フィルターを詰まらせたのだ。そのフィルターを使ってポンプで水を原子炉にもどすことになっていた。

 「泥沼フィルター」はほかの原子炉の中でも、緊急時に原子核を冷やす妨げとなっていることが判明した。さらに実験によって不安なことが示されている。とりわけ細い繊維はフィルターを通り抜けて原子炉の中心まで入り、そこで一つのフェルトを形成し、細い冷却水路を詰まらせるというのである。

 2008年の終わりに原子力安全委員会は、問題を根本的に解決するための長年にわたる試みが失敗したことを明かにした。にも関わらず、原発は可動し続けている。

#22届けを要する事象

3日に1回ドイツの原子力発電所で『安全性に関わる事象』が起こっている

 

ドイツ連邦放射線防護庁の原発故障登録局は年々100200件の原発故障を記録しています。そしてドイツの原子力発電所において原子工学の安全性にとって―1965年以来累計およそ6000件もの―意義深い事象を記録しています。毎年このような届けを要するいくつかの事象は、重大な事故を引き起こす可能性をはらんでいます。これまでにそれがドイツで予想の範囲を超えた災害まで至らなかったということは、度重なる偶然と幸運にすぎないのです。

#21老朽化の危険性

原子力発電所の運転が長ければ長いほどそれだけリスクが高まる

 

技術と電子工学は永遠には持ちこたえません。ましてや原子力発電所に至っては永続するわけがありません。パイプは脆くなり、コントロールがきかなくなり、弁とポンプが機能しなくなります。ひび割れが大きくなり、金属が腐食します。デービス・ベッセ原子力発電所(アメリカ合衆国オハイオ州)では開口部が知らないうちに原子炉圧力容器の16cmの厚さのスチールを通して侵食していました。内側の薄いステンレススチールだけで漏れを防いでいたのです。

原子力発電所が長く運転すればするほど、そして古ければ古いほど、より運転が危険になります。そのことは届けを要する事象の統計からも読み取ることができます。ビブリスやブルンスビュッテルのような古い原子炉は新しいものよりも明らかに多いのです。

#61 花崗岩の裂け目

花崗岩そのものが、核廃棄物を埋葬するには不安定すぎます

今日まで全世界で適用されている、スウェーデンによる最終処分場のコンセプトは、言葉通り『脆い』ことが明らかになりました。160万年前から安定していると言われていた原成岩に、地震の痕跡があることを、地質学者が確認したのです。過去1万年間だけでも、この土地は58回にわたってマグニチュード8にも達する大地震が起きています。幸いにして、当時そこにはまだ核廃棄物は埋まっていませんでしたが。

#35 ケーブルの不具合

電気設備の欠陥は原発の発電の際には日常茶飯事である。深刻な結果を伴う。

2006年 夏、ヨーロッパは大災害寸前の状態にあった。スウェーデンのフォースマルク原発において、ケーブルで電気を流すときに判断ミスがあり、ショートと停電が起 こったために非常用発電機が動かなくなったのだ。あと数分で炉心溶解が始まる状態であった。同様の事故はほかにもある。ブルンスビュッテル原発では電気設 備の欠陥のせいで、1976年の原子炉の運転開始以来、非常時そして後続の冷却システムを使うための十分な非常用電気を供給することができなかった。さらにビブリス原発は間違った、粗野な、ぞんざいに作り上げられたケーブル敷設を順次すぐに申告しないといけない。



#32 利益の追求

利益追求は、原子力発電においても言えることです。安全よりも利益が優先されるのです―爆発事故の発生後でさえも。

2002年の初め、ブルンスビュッテル原子力発電所から出てきた調査団の顔色は「真っ青」でした。彼らは原子炉圧力容器の真横で配管―というよりも、まだ辛うじて残っていた25の配管の破片を―点検していたのです。

200112月、水素爆発が発生し、この太さ10センチの配管(厚さ58mm)は3メートルにわたって破砕しました。

当時の運営会社HEW(現在はVattenfall)は、「自然発生的なパッキン漏れ」であると報告し、配管を遮断したうえで―、なんと原子炉はそのまま稼働させ続けていたのです。冬場は、市場で電力価格が最も高くなるからです。キールの厚生省が強力な圧力を掛けたためにようやく、HEW2月中旬に調査を行うことを承諾しました。結果、この原子力発電所はその後13カ月にわたって停止されることになりました。

#55 中継倉庫

高濃度放射性廃棄物が保管されているのは、いくらかましなジャガイモ倉庫のようなところです

容 器内の核廃棄物は強い放射線を発しているので、外壁は非常に高温になっています。そのため、ゴアレーベン、アーハウス及び各原子力発電所に併設された核廃 棄物の中継倉庫には、巨大な通風スリットがあります。空気対流によって、貯蔵容器を冷却するためです。しかしもし貯蔵容器のひとつが密閉されていなかった としたら、放射性物質はそのまま大気中に拡散してしまうことになるのです。

#27崩壊した新築

新型の原子炉さえも安全ではない

フ ランスの原子力産業複合企業アレヴァが目下のところフィンランドとフランスに建造した、最新型だといわれているヨーロッパの加圧水型原子炉(EPR)にお いても、炉心溶融のような重大な事故さえ起こる可能性があります。大量の放射性物質が周辺の地域に達するかもしれないのです。 原子炉を操縦し、緊急事態 の際にはそれを停止させる制御システムはとても危険であり、 フィンランド、イギリス、フランスの原子力保安院が共同声明で抗議したほどです。 非常に安 全だといわれている新型の原子炉も、普通の飛行機の墜落に対してさえもまだ1度も保護されていません。この建設を中止するかわりに、フランス政府は問題を はらんだこの鑑定書にむしろ軍の極秘文書の烙印を押しました。