Blog 原発に反対する100の理由

#107 設備の増強

CDU自ら、昔からある原子炉が安全性に不安を抱えていることを認めているが、解決できないでいる。

 

 2009年の連邦選挙の3日後、かつてのCDUの首相コッホとオッティンガーはCDUCSUの党首に、膨大な「核エネルギーの戦略と進展に関する文書」を送った。その文書は、さらに長期間原発を稼動するための道のりを証明するはずのものだった。その文書はまた「安全面に関する相違点」とも呼ばれており、原発の欠陥や古い原子炉についても述べられている。さらにこの文書によって、古い原子炉は膨大な費用で補償することはできないのだと明らかになった。むしろ今ある設備構想のせいで原子炉の増強ができないでいるのである。

#106 急速に広がる亀裂

原発内の重要な配管に亀裂が入るも、だれも気づかず。

 

ヴュルクアッセン原発はこの亀裂のせいで運転停止し、シュターデにある原子炉は停止するところである。クリュンメルやブルンスビュッテルの原発はこの破損が原因で長年停止している。この亀裂は配管や原子炉容器、溶接の継ぎ目にも認められる。

 専門家は異なる鉄鋼の品質に関して、過去の数十年ですでに耐裂性を証明していたが、この予測は誤りだと証明された。確かなことは、たとえ小さな亀裂でも急激に広がりえるということだ。それは配管の破損と漏洩を引き起こし、炉心融解に繋がる最高の条件となる。

 とりわけ不安なのは、大部分の亀裂が偶然発見されるということである。発見できるのはクリュンメルのように長期間原子炉が停止したときぐらいなもので、それ以外には大規模な検査をする時間が無いということだ。

#105 ぞんざいな建設

フィンランドにおける原子炉建設の労働環境、ケルン地下鉄建設時よりも悪化

 

60か国から集まった4300人の労働者が、「ヨーロッパの加圧水型原子炉」(EPR)の原型を作るためにフィンランドのオルキルオトで働いた。だが建設状況はぞっとするものだった。鉄筋コンクリートの中の一部が不足し、現場監督は作業員と同じ言語を話さない上に、溶接の継ぎ目ははがれて、監督官は欠陥箇所をコンクリートで塞ぐよう指示する。それに加え16時間の労働、ダンピングの賃金、採用と解雇の問題もある。これでは「奴隷が働く原子炉」である。

 フィンランドの原子力監督官庁はすでに3000以上の建築欠陥を確認した。その欠陥箇所は、土台に誤って入れられたコンクリートから、指示に従わないで溶接された冷却システムの配管にまで及ぶ。

#104 貝と葉っぱ

植物の残骸でもメルトダウンを起こしうる。

 

冷却システムの一部が詰まって停止したせいで、アルザスにあるフェッセンハイム原発は2009年の末に非常停止しなければならなかった。ライン川から流れてくる大量の植物の残骸が、循環冷却の配管組織の奥深くまで入り込んでいたのである。原子力監督官庁は非常事態の指導部を召集した。その少し前にローヌ川から流入した漂流物がすでにクルアス原発の冷却システムを麻痺させていたのだ。

 もっと厄介なのは貝類(シジミ)である。その小さな貝は遠く東方から持ち込まれ、さしあたり中央ヨーロッパの川でかなりの速さで増殖した。その小さな幼生はあらゆるフィルターを通り抜けてしまった。スイスの原発では作業員がなんとか高圧洗浄機を駆使して対応している。アメリカでは1980年に甲殻類のせいですでに原発の一つが運転停止となっている。

#103 炉心にあるフェルト

ちぎれた断熱材のせいで原子炉の冷却水路が詰まる可能性がある。

 

1992728日、スウェーデンのバルゼベック原発において、小さな漏洩口が原因であやうく大規模事故が起こりかけた。漏れ出た水が断熱素材を引き裂いて、細い繊維が吸引フィルターを詰まらせたのだ。そのフィルターを使ってポンプで水を原子炉にもどすことになっていた。

 「泥沼フィルター」はほかの原子炉の中でも、緊急時に原子核を冷やす妨げとなっていることが判明した。さらに実験によって不安なことが示されている。とりわけ細い繊維はフィルターを通り抜けて原子炉の中心まで入り、そこで一つのフェルトを形成し、細い冷却水路を詰まらせるというのである。

 2008年の終わりに原子力安全委員会は、問題を根本的に解決するための長年にわたる試みが失敗したことを明かにした。にも関わらず、原発は可動し続けている。

#22届けを要する事象

3日に1回ドイツの原子力発電所で『安全性に関わる事象』が起こっている

 

ドイツ連邦放射線防護庁の原発故障登録局は年々100200件の原発故障を記録しています。そしてドイツの原子力発電所において原子工学の安全性にとって―1965年以来累計およそ6000件もの―意義深い事象を記録しています。毎年このような届けを要するいくつかの事象は、重大な事故を引き起こす可能性をはらんでいます。これまでにそれがドイツで予想の範囲を超えた災害まで至らなかったということは、度重なる偶然と幸運にすぎないのです。

#21老朽化の危険性

原子力発電所の運転が長ければ長いほどそれだけリスクが高まる

 

技術と電子工学は永遠には持ちこたえません。ましてや原子力発電所に至っては永続するわけがありません。パイプは脆くなり、コントロールがきかなくなり、弁とポンプが機能しなくなります。ひび割れが大きくなり、金属が腐食します。デービス・ベッセ原子力発電所(アメリカ合衆国オハイオ州)では開口部が知らないうちに原子炉圧力容器の16cmの厚さのスチールを通して侵食していました。内側の薄いステンレススチールだけで漏れを防いでいたのです。

原子力発電所が長く運転すればするほど、そして古ければ古いほど、より運転が危険になります。そのことは届けを要する事象の統計からも読み取ることができます。ビブリスやブルンスビュッテルのような古い原子炉は新しいものよりも明らかに多いのです。

#61 花崗岩の裂け目

花崗岩そのものが、核廃棄物を埋葬するには不安定すぎます

今日まで全世界で適用されている、スウェーデンによる最終処分場のコンセプトは、言葉通り『脆い』ことが明らかになりました。160万年前から安定していると言われていた原成岩に、地震の痕跡があることを、地質学者が確認したのです。過去1万年間だけでも、この土地は58回にわたってマグニチュード8にも達する大地震が起きています。幸いにして、当時そこにはまだ核廃棄物は埋まっていませんでしたが。

#35 ケーブルの不具合

電気設備の欠陥は原発の発電の際には日常茶飯事である。深刻な結果を伴う。

2006年 夏、ヨーロッパは大災害寸前の状態にあった。スウェーデンのフォースマルク原発において、ケーブルで電気を流すときに判断ミスがあり、ショートと停電が起 こったために非常用発電機が動かなくなったのだ。あと数分で炉心溶解が始まる状態であった。同様の事故はほかにもある。ブルンスビュッテル原発では電気設 備の欠陥のせいで、1976年の原子炉の運転開始以来、非常時そして後続の冷却システムを使うための十分な非常用電気を供給することができなかった。さらにビブリス原発は間違った、粗野な、ぞんざいに作り上げられたケーブル敷設を順次すぐに申告しないといけない。