#31 悪天候

雷ひとつが命取りになりかねません。

原子力発電所における停電、いわゆる非常停電の場合には、原子炉は最も危険な状態となります。非常時に確実な電力供給がなければ、炉心の冷却機能が失われ、メルトダウンに至る恐れがあります。ちょっとした悪天候ですら、その引き金になりかねないのです。

西ドイツの原子力発電所では、1977年から2004年の間に8回も、雷や嵐のために重要機器の停電や危機的な非常停電が発生しており、1977113日の原子力発電所グントレミンゲンAにおいては、全体破損にまで至ってしまったのです。

浸水による危険も考えられます。フランスの大西洋沿岸にあるブライ原子力発電所は、浸水によって定期的に冷却機能が停止しています。

#29 想定を超える大規模原発事故

想定を超える大規模原発事故は、いつでも起こり得ます。

1989年「ドイツにおけるフェーズB級原発事故が発生するリスク調査」の予想では、西ドイツの原子力発電所において、技術的欠陥により想定以上の大規模事故が起きる可能性は、年間0.003%となっています。この数字は一見、危険性が低いように思えますが、原子力発電所は、2008年までにEU圏内だけでも146基も存在しているのです。したがって40年間の稼働期間中、超規模事故発生の危険性は一基当たり16%以上にもはねあがるのです。またこの数値は、他にも十分予想されるはずの故障や原子炉の老朽化については、全く考慮されていません。スリーマイル島やチェルノブイリをはじめ、様々な人的ミスによるどの原発事故も、同様に「可能性は低い」とされていたのです。

#60 核廃棄物による最終処分場の破壊

放射能は岩塩を壊変します

 放射線は岩塩を分解することを、グローニンゲン大学のヘンリー・デン・ハルトーク教授が証明しました。ゴアレーベンで計画されている岩塩層への核廃棄物の埋設は、恐るべき結果をもたらし得るのです。しかし当局はこの事実に関して、これまで何の結論も見出していません。

岩 塩層はほかの理由でも、最終処分場として異論の余地があります。岩塩層の可塑的な岩石が貯蔵室を圧迫し、保存容器が破裂するかもしれませんし、岩石には常 に上方へ押し上げられる圧力がかかっており、しかも非常に水に溶けやすいのです。ゴアレーベンの岩塩に含まれる塩の一種カーナリートの融点は300度であり、最終処分場が発する熱で溶解する可能性が十分にあります。

#49 放射性物質貯蔵タンクのトリック

核廃棄物貯蔵タンクの検査は不十分です。

 

放射性物質貯蔵タンクは安全であるといわれています。しかし全ての製品が実際に検査試験を受けているわけではありません。落下検査や耐熱検査がなされているのは、大抵の場合、規格製品の縮小版だけなのです。あるいはシミュレーションしか行われていないこともあります。

しかし現実は、時にこうした検査結果とは異なるものです。2008年 初旬には新型の貯蔵タンクでそういう事例が発覚しました。 製造業者は、容器の実用的・理論的計測数値を水増しするため、自由選択パラメーターを採用して いたのです。しかしこのパラメーターは、材質検査の基準としては、環境庁にすら認められるものではありませんでした。そのため2009年には一切の貯蔵タンクの輸送が実施できませんでした。

#14 誤った基準値

放射能基準値の範囲内でも人体に影響が出ることは、黙認されています

原 子力施設からの放射性物質排出許容量は、今日でもいまだに、「平均男性」を基準にして算出されています。「平均男性」とは、若く、健康で、体の丈夫な人物 が想定されています。高齢者、女性、児童、乳幼児、胎児などが、部位によっては明らかに放射能の影響を受けやすいという事実は、考慮されていません。

国際基準、国内基準いずれの数値の範囲内でも、国民の人体にある程度の影響が出ることは黙認されています。それというのも、『原子力計画の拡大』のために、裁量の余地を確保しておきたいからなのです。

#95 相性が悪い

原子力と再生可能エネルギーは相性が悪い

近時、E.ONとフランス電力公社といった電力会社は、イギリス政府が再生可能エネルギーを推進すれば、新しい原子力発電所には投資しない、とイギリスの政府を脅した。なぜなら、コストが高い原子力発電所は、継続的に電気を発電するときのみ儲かるからである。

た だし環境にやさしい太陽・水力・風力などに発電された電気の補完にすぎない電子力発電所。従って、再生可能エネルギーと組み合わせるには、断続的に、簡単 で素早く開始したり停止したりできる原子力発電所しか向いていない。ところが、技術上では原子力発電所は極めて柔軟性がないのである。

すなわち原子力と再生可能エネルギーは味方になれず、いつも敵なのだ。原子力を推進する方は再生可能エネルギーの推進を阻止し、または再生可能エネルギーを推進する方は原子力の推進を阻止している。

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韓国語のジニ先生による韓国、韓国語がテーマのブログです。

ドイツから帰国したあと、私たちは翻訳チームを結成しました。 ドイツの脱原発運動を日本で身近なものにするために。 第1回のプロジェクトとして私たちが着手したのはシェーナウ発電所(Elektrizitätswerke Schönau)の『原発に反対する100の理由』(”100 guten Gründe gegen Atomkraft”)の日本語翻訳です。  (こちらのリンクからドイツ語の原文が見れます。 -WrackAbのみなさん、どうもありがとうございます!) ....

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